IT業界でクラウド型サービスが話題を集めるに連れて、下記のような質問や声をよく聞くようになりました。
「GoogleAppsやSalesForceを使用しているとPマーク取れないのですか?」
「うちはPマークを取ってますので、Google AppsやSalesFoerceは使えませんよね」
(Google Appsのことを知らない方は、企業向けのGmailと思ってください)
簡単に答えをいうと、そんなことはありません。クラウド型サービスを利用しているからと行ってPマークが取れないことも有りませんし、Pマークを取っているからといってクラウド型サービスを利用できないわけでもありません。
おいおい、そんな大胆なことを言っていいのかというご意見を持つ人もいると思いますので、2種類の方法でそれを証明してみましょう。
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(1)SalesForceはPマークを取得している。
SalesForceの日本法人である株式会社セールスフォース・ドットコムは、2008年2月5日付でプライバシーマークを取得しています。
SalesForceが、社内でSalesForceを使用していないはずはありません。だから、SalesForceを使用していてもPマークは取得出来ることの証明になります。
同じような文脈でいうならば、弊社のお客様でもGoogleAppsを使用していてPマークを取得された会社もいくつもあります。
ですから、何の問題もないということです。
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ただし、このような帰納的な証明方法では、納得出来ない方もおられると思いますので、次は逆向きの演繹的な方法で証明したいと思います。
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(2)普通のメールサーバーとどちらが安全でしょうか?
クラウド型サービスというと、個人情報が外部のサーバーに保管される、個人情報を社外に出すなどとんでもないという「恐怖感」が、クラウド型サービスを評価する際の最大の障害だと思われます。
しかし、通常のメールサーバーはどうなんでしょうか?
電子メールは、とってもセキュリティの甘い通信手段です。なんといっても、
送信者のPC
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自分側のメールサーバー
↓↓↓
相手側のメールサーバー
↓↓↓
受信者のPC
という通信経路のうち、真ん中のメールサーバー間の通信は全く暗号化されていません。全く暗号化せず通信するのが電子メールの基本なのです。
また、PCとメールサーバーの間の通信も多くの場合は暗号化されていません。最近ではSSLによる暗号化を実施している場合も多くなってきていますが、まあ、このBlogをお読みの方の半数くらいはまだ暗号化していないことでしょう。電子メールのセキュリティとはそんなものです。
ここで恐ろしいのは、暗号化していない状態でメールの受信をした場合には、メール受信パスワードがネットワーク上を暗号化されずに流れることです。このパスワードを傍受されてしまえば、世界中のどこからでもあなたのメールを読めるようになります。パソコン2台でメールを受信している人もいると思いますが、あれと同じような感じで、自分のメール受信簿と全く同じものを知らない人が読んでいるというリスクまであるわけです。(もちろんこのような行為は不正アクセス禁止法違反にあたる可能性が高い行為です)
一方のGoogle Appsはどうでしょうか?Googleも以前は暗号化されていないことがあったようですが、最近はほとんどの通信が暗号化されています。特にGoogle Appsの場合は、管理者が暗号化通信を強制することが可能です。
つまり、今やGoogleの通信は多くが暗号化されており、PCーメールサーバー間の通信における傍受リスクに対しては普通のメールサーバーで暗号化せずに使用しているよりも安全とも言えるわけです。
この文章は「クラウドは安全だ」ということを言いたいのではなく、「クラウドも従来のサービスにもリスクが有る」ということを言いたいのです。そのリスクと利便性を見比べながら、経済合理性にあった対策をとると言うのがプライバシーマークの基本的な考え方です。
ですから、クラウド型サービスだからダメとか、いいとか、そういうことではなく、どんなサービスを利用したとしてもそのリスクを評価し、適切なセキュリティ対策をしていけばいいのです。
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というわけで、2種類の方法で、「GoogleAppsやSalesForceを使用しているとPマーク取れないのか?」というご質問にお答えしてみました。参考にしていただければと思います。
※かと言って、クラウド型サービスは安心ですからみなさんじゃんじゃん使いましょう!!!という訳ではありません。みなさんご自分たちで判断していただくことを求めます。