NHK-BS放送の「BS世界のドキュメンタリー」で放送された番組において、米国政府の諜報機関NSAは、ATTのネットワークセンターにNSA職員しか出入りできない部屋を設けて、ネットワークに直結し、不特定多数の通信内容を傍受しているとの内容があったとのことです。すなわち、米国政府は〜
インターネット上を流れる通信内容、とりわけ一般には秘密が守られていると考えられている電子メールの内容を全て傍受している可能性が高いわけです。

電子メールは、一般的に使用されているSMTP/POP3の場合には暗号化されていませんので、ネットワーク上で傍受することができれば誰でもその内容を読み取ることができます。また、メールサーバー間通信は、発信者がメール内容をS/MIMEやPGPなどの暗号化ソフトを使用して暗号化しない限り、全く暗号化されていません。

ではどうして一般的には安全だと思われているかというと、今ではインターネットのネットワークはそのほとんどが民間の電気通信事業者が管理しているものとなっており(インターネット発祥の頃は個人やボランティアが管理していた)、電気通信事業者は日本の場合は電気通信事業法に基づいて、通信の秘密を守ることになっているからです。

しかし、このネットワークの主要なところに、傍受用の機器を設置して、内容を読み取るようにすれば、原理的にはインターネット上を流れる通信内容のほとんどは傍受することが可能なのです。電子メールのほとんどは暗号化されていないので、何の問題もなく、読み取れてしまいます。また、ID・パスワードの情報も傍受できますので、いったん傍受してしまえば、後はいくらでも好き勝手に特定の人間のメールを読むことが可能になります。

今回の番組で明らかになったことは、少なくともアメリカのATTのサンフランシスコの支社にはそういう傍受ポイントが設けられているということです。全米の、そして全世界のインターネット上の通信の大半を傍受するために、こういう傍受ポイントが何箇所必要なのか、かなりの数になりそうです。しかし、通信会社間を結ぶ「IX(インターネットエクスチェンジ)」という接続点は結構限られていますので、この「IX」に傍受用の機器を設置すれば、かなり効率的にインターネット上を流れる通信内容の多くを傍受することが可能になります。

日本では通信の秘密は絶対のものとされています。過去、電話の盗聴が大きな政治問題になったこともありました。だから、日本政府がこういったインターネット上の通信を傍受しているということは、今のところあまり考えられません。しかし、米国政府はすでに「USA Patriot Act(アメリカ愛国法)」を制定済みであり、このような傍受が合法化されています。

だから、Gmailのように明らかにアメリカ国内にあるサーバーを使用する場合には、アメリカ政府に傍受されている可能性があると考えたほうがいいです。メールアクセス時にはSSLで暗号化されたWeb画面を使用し、STMP/POPを利用しないとしても、サーバー間通信は暗号化されていませんので、内容は筒抜けの可能性が高いです。

ま、というわけで、個人情報保護から少し離れてしまいましたが、メールの秘密性は守られているというのはもはや神話であり、それは事実ではないということを申し上げておきます。

題名: 国家があなたを見張っている
原題: Spying the Home Front
制作: WGBH Frontline(アメリカ) 2007年
再放送:9月24日 月曜日 後10:00〜11:00

http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/070911.html



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