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本Blogにおいても何回か記事にしていますが、昨年より、政府において「パーソナルデータ利活用に関する制度見直し」の検討が続いています。とても分かりにくいと思うのですが、これこそが個人情報保護法の改正作業です。

そして今回の改正作業の一つの区切りとなる「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」という文書が6月24日に出ていますので、遅ればせながら取り上げたいと思います。

なお、この文書については、「事務局案」が出た際に本Blogで記事として取り上げましたので、その時からの変化点を見てみたいと思います(赤い部分が変化点です)。なお、以下の内容は全て私による要約です。正確さは保証しませんので、興味をもった方は原文を読んでください。

●今回の改正の趣旨
(1)情報通信技術の飛躍的発展により、ビッグデータの分析による新ビジネスの興隆が期待されるが、特にパーソナルデータの取扱に関して、個人情報保護法が対応しきれていないために混乱が生じている。
(2)一方で、個人情報やプライバシーに関する消費者の意識も拡大しており、より一層の安心感をうむ制度が求められている。
(3)また、OECDガイドラインの改正、米国のプライバシー権利章典の公表、EUの個人データ保護規則など、海外での個人情報保護、プライバシーに関する動きを踏まえて、日本も制度を調和させる必要がある。

●今回具体的に検討されている内容
1.個人データを、本人識別性が低減するように加工し、個人の権利利益が侵害されるおそれに留意した取り扱いをする場合には、本人の同意がなくても第三者提供や目的外利用を認める。
2.社会的差別の原因となるおそれがある人種、信条、社会的身分、前科、前歴などの情報を機微情報として定め、原則として取り扱いを禁止するなどについて検討する(本人同意がある場合は例外とする)。
3.データの突合や分析により本人が認知しないところで個人情報が生成されるケースに対して、事業者として必要な措置を定める。
4.利用目的の変更の際には、全員の同意が必要となっている現状を見直し、オプトアウト型の手続きを認めるなど検討する。
5.「第三者提供に関するオプトアウト規定」を使って第三者提供を行う場合には、第三者機関に必要事項を届け出て、第三者機関が公表する仕組みを導入する。
6.個人情報の保存期間の公表を義務付けるのあり方について検討する
7.パーソナルデータの利活用と、個人情報・プライバシー保護の両立のために、民間主導で自主規制団体を作って、ルールを定めるなどの取り組みを行わせる。自主規制団体は、第三者機関が認定する。
8.国境を超えた情報流通を行う事業者に対して、専門の民間団体が相手国のプライバシー保護水準との適合性を審査して認証する仕組みを創設する。民間団体は第三者機関が認定する。
9.パーソナルデータの保護と利活用をバランスよく推進するための独立した第三者機関を設置する。具体的には番号法で創設された特定個人情報保護委員会を組み替えることで、この第三者機関とする。
10.第三者機関の創設にあたり、従来から主務大臣が果たしてきた役割や権限を移譲していくこととなるが、役割分担を明確にして効率的に運用する(この部分は大変曖昧な記述になっています)。
11.現行法では認められていなかった個人情報の開示等の「請求権」を明確に定める。
12.外国の事業者についても、個人情報保護法の適用対象に入れる。
13.外国の事業者に個人データを提供する際には安全管理のための契約締結を義務付ける。
14.外国の事業者から提供を受けた個人データを外国の第三者に提供することを禁止する(詳細不明です)。
15.取り扱う個人情報の人数が5000人未満の小規模事業者について、個人情報取扱事業者の例外としてきた規定を廃止する。
16.いわゆる名簿屋に対する措置を継続検討課題とする。

ということで、かなりいろいろな部分について見直しが入ることになりそうです。

パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/info/h260625_siryou2.pdf

なお、すでにパブリックコメントも始まっていますので、ご意見のある方はコメントされることをおススメします。7月24日締め切りです。

「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」に対する意見募集について
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/info/h260625.html

(私のコメント)
展開が早くて少し追いつけていなかったのですが、ようやく大綱の最終文書をチェックできました。事務局案から大きな変化はなかったようですが、名簿屋に関する項目が追加されていたのは本当にタイムリーなことだなと思いました。

(以前の記事)
個人情報保護法2015年改正>パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱(事務局案)を読み解く
http://www.pmarknews.info/archives/51944598.html




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